(徹底検証)ブレイクアウト
ストラテジー(売買戦略)の紹介
ブレイクアウトとは、過去n日間の最高値を更新すると買うというストラテジーで、順バリ系の代表格です。
日数やフィルターによってバリエーションがありますが、例えば「トレーディングシステム徹底比較(パンローリング刊)」で紹介されていた「40/20ドンチャン・チャネル・ブレイクアウト」というシステムでは、「過去40日間の最高値を逆指値で買い、過去20日間の最安値を逆指値で仕切る(売る)」となります。
(この本で紹介されている数々のシステムの中でもっとも成績の良かったシステムが「40/20ドンチャン・チャネル・ブレイクアウト」でした。)
ここでは、次のルールを採用します。
買い条件
・終値 が 過去40日間の最高値 を更新
売り条件
・終値 が 過去20日間の最安値 を更新
チャート
5404 NKK
ブレイクアウトがうまく機能している銘柄では、底値圏で十分に下値を固めてから長期間にわたる上昇トレンドに入ったケースが多いことがわかります。
買いシグナルが連続して出ていますが、実際には一番はじめのシグナルで売買します。
1603 アラビア石油
逆に失敗したケースです。結果的に高値つかみになっています。下げが急すぎて売りシグナルが間に合っていません。
検証結果
すべての銘柄を対象にテストしてみると次のような結果になりました。検証の条件はこちら
[テスト結果]
総銘柄数 2047
有効銘柄数 (有効率) 1912 ( 93.40%) 総トレード数 6381
勝ち銘柄数 (勝率) 819 ( 42.83%) 勝ちトレード数 (勝率) 2355 ( 36.91%)
負け銘柄数 (負率) 1093 ( 57.17%) 負けトレード数 (負率) 4026 ( 63.09%)
銘柄平均利益 19,909 トレード平均利益 5,965
トレード平均期間 45.15日
トレードの勝率が37%と低いことがわかります。利益もプラスですが良い成績とは言えません。
このように単純なブレイクアウトでは勝率が悪いため、上昇トレンドをうまくとらえる前に、何度も負けトレードを経験することになってしまいます。そこで負けトレードを少しでも減らすためのフィルタが重要になります。
掲示板で「株価変動率と組み合わせることで勝率がアップする」という書き込みがありましたので試してみましょう。買い条件を以下のように変更します。
<指標の解説>
株価変動率
買い条件
・終値 が 過去40日間の最高値 を更新
・株価変動率 (40日)が 20 より下
売り条件
・終値 が 過去20日間の最安値 を更新
株価変動率というのは指定期間内の(最高値−最安値)÷最安値×100%です。
変動率が20%未満、つまりトレンドではなく底値ボックス圏をブレイクしたときのみ有効にするわけです。
[テスト結果]
総銘柄数 2047
有効銘柄数 (有効率) 1241 ( 60.63%) 総トレード数 2840
勝ち銘柄数 (勝率) 586 ( 47.22%) 勝ちトレード数 (勝率) 1129 ( 39.75%)
負け銘柄数 (負率) 655 ( 52.78%) 負けトレード数 (負率) 1711 ( 60.25%)
銘柄平均利益 30,353 トレード平均利益 13,263
トレード平均期間 42.90日
トレード数は半分以下に減りましたが、勝率、利益ともに多少改善していることがわかります。
ちなみに「タートルズの秘密(パンローリング刊)」で紹介されているタートルズの手法も、20/10ブレイクアウトに独自のフィルターを追加したものです。
他にもいろいろなフィルターがあるので、いずれ試してみたいと思います。
チャートおよび検証に使用したソフト