◆開発講座◆どんなシステムにするかを決める

自動化の範囲

一口にシステムといっても、指定した銘柄の売買シグナルのみ表示するタイプから、銘柄選択に始まりマネーマネジメントまでをコンピュータにまかせるタイプまでいろいろです。どこまでをシステム化(自動化)するのかを、あらかじめ決めておく必要があります。トレードに必要な「決断」は主に下の3つです。

・ 銘柄の選択(どの銘柄を買うか)
・ 投資額の決定(何株買うか)
・ 売買タイミング(いつ買って、いつ売るか)

私の場合は、完全に自動化しているのは売買タイミングだけで、銘柄の選択や投資額は自分で決めています。(もちろんある程度のルールを決めています。)いずれは、すべてを自動化したいと考えています。

システム・トレーディングというと、証券会社への注文までが自動化されていて、まさに寝ていても機械が勝手に儲けてくれるといったイメージを持っている方もいるのではないでしょうか。アメリカでは実際にそういうシステム・トレーダーがいるそうですが、残念ながら日本では個人投資家レベルでそういった物を作るのは難しいでしょう。私も実際の売買注文は手入力です。

投資の対象

投資の対象には、商品先物、為替、株(日本株、外国株)といろいろな種類があります。
私は株式投資(日本株)を投資の対象としています。 テクニカルであれば基本的に対象は何であっても同じだという考え方もありますが、 実際には、それぞれの市場の売買ルールが違うため、例えば、書籍で紹介されている有名なシステムであっても、市場の売買ルール(逆指値など)の違いから、そのまま日本株で使えるとは限りません。

また、日本株であっても、例えばジャスダック(店頭)では成行売買できないといった 細かいルールの違いがあるので注意が必要です。

デイトレードか、日足データを元にしたトレードか

日中のリアルタイムのデータを元にデイトレードするシステムと、市場が閉じて日足データ(四本値+出来高)が確定してから、そのデータを元に、次の日の売買を決めるシステムがあります。
私は後者のシステムを作っています。この方法のメリットは、その日のデータを更新し、分析し、分析結果をもとに売買注文を入れる、という毎日の作業が全部で10分もかからないことです。

デイトレをしていないのには2つの理由があります。
1つは、デイトレのシステムをテストするのは、日中の値動きの過去データが必要になりますが、 そういったものは私の知る限り入手できないからです。(日足データであれば過去10年分程度は簡単に入手できます。)

もう一つは、私がデイトレに興味がないからです。そもそもシステム・トレーディングを始めようと思ったのもできるだけ楽をして儲けたいからで、9時から3時までPCに付きっきりでないと儲けられないのでは私にとっては意味がないからです。上で述べたように売買注文まで自動化していれば別ですが、現状では難しいでしょう。

銘柄の選択

投資の対象となる銘柄をどうやって選ぶのかは大きな問題です。為替や商品と違って、株の投資対象は数千銘柄にもおよびます。投資対象がすでに決まっている場合は話は簡単ですが、決まっていないことも多いでしょう。数千の中からどうやって投資対象を選び出せばよいのでしょうか。

まず、ファンダメンタルも含めてスクリーニングする、システムの過去の成績が良かったものを選ぶ、完全に自己裁量(好きな銘柄)で選ぶ、といった方法があります。銘柄の選択はどうしてもシステム化(自動化)しにくい部分です。私は、まず各種条件でスクリーニングし数百から数十銘柄まで絞り込みます。詳しくは【番外】「銘柄候補のグループを作成する」で書くことにします。

また、1つのシステムで1つの銘柄だけを扱うのか、複数の銘柄を扱うのかも決めておかなくてはなりません。1つのシステムで複数の銘柄を扱うと、どうしてもテストや運用が複雑になります。ここでは主に1システムで1つの銘柄だけを扱うことにして話を進めます。複数銘柄を扱うシステムについては、後ほど【番外】で取り上げます。

現物のみか、空売りを使うか

買い→売りだけで勝負するか、売り→買い(空売り)も使うかでは、大きく異なります。買いと売りの両方を使えるならば、

  買い→ドテン売り(買いを手じまって、さらに売り建て)→ドテン買い→・・・

というように、無駄なく運用することもできますが、現物でやっていると、どうしても

  買い→売り(次の買いまで休み)買い→売り→・・・

となり、運用していない期間が多くなってしまいます。

銘柄の選択の話とも関係しますが、空売りを使えるなら1つの銘柄を決めて売買を繰り返すことができるけれど、現物に限定してしまうと休みが多くなり、複数の銘柄を対象にしてうまく回転させないと資金が無駄になってしまいます。

私は今のところ現物のみですが、投資機会を増やす意味からも将来的にはぜひ信用口座を開きたいと思っています。ただ、よく言われているように「下げ相場だから現物のみだと損をする」というのは大きな間違いです。全体が下げ相場でも騰がっている銘柄はいくらでもありますし、下がっている銘柄でも利益を上げるシステムは存在します。
まず、現物でしっかりとしたシステムを作ってから信用取引を始めても遅くないと思っています。

マネーマネジメント

銘柄と売買タイミングが決まっても、何株買うかを決めなくてはなりません。 つまり、自分の運用資金の中から、このシステムにいくら投入するのかということです。

また、追加買い(売り)を認めるかどうかも決めておきましょう。 すでに保有している銘柄に再度買いシグナルが出た場合や買値から一定の割合下がった場合に、追加買いするかどうかです。追加買いを認める場合は、追加買いする場合の資金の投入方法も決めなくてはなりません。

私は、自分のシステムでは追加買い(売り)は禁止しています。


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